ゲーミングPCにはデスクトップ型とノート型の2種類があり、どちらを選ぶべきかは人により異なります。
以前は、ゲームをするなら性能が高いデスクトップ型と言われていましたが、近年はノート型の性能も向上しているため、性能だけで選ぶのは間違いです。
今回の記事では、ゲーミングPCの最適な選び方と、デスクトップ型・ノート型それぞれのメリットやデメリットを解説します。
ゲーミングPCはデスクトップ型とノート型のどちらが人気?
ゲーミングPCにはデスクトップ型とノート型があり、どちらの人気が高いのでしょうか。
ここでは、実際の調査に基づき、それぞれの出荷台数や使用率を解説します。
出荷台数はゲーミングノートPCの方が多い
イギリスの人気メディア「SafeBettingSites」の調査によると、2020年におけるゲーミングPCの出荷台数は、次の通りでした。
- デスクトップ型:1,480万台(市場シェア29.8%)
- ノート型:2,230万台(市場シェア44.9%)
2024年には、ゲーミングPC全体の出荷台数が6,200万台となり、2020年と比較すると25%増の見込みです。
そのうち、ゲーミングノートPCの出荷台数はさらに伸びて、3,020万台になる見込みです。
しかし、ゲーミングデスクトップPCは、販売台数こそ1,580万台に微増するものの、シェアが25.5%に低下すると予想されています。
ゲーミングPCの販売が好調な理由は、新型コロナウイルスが流行したことによる巣ごもり需要にあります。
多くの人が自宅やオンラインで過ごす時間が増えて、世界のゲーミングPC出荷台数が急増しました。
ただし、ゲーミングPCを購入する人は全員がゲーマーではなく、「ハイスペックなノートPCが欲しい」という理由で購入しているユーザーも多いです。
近年では、YouTubeやTikTokなどに動画を投稿する人が増えたため、外出先で気軽に動画編集をしたいというニーズも高まっています。
ゲーミングノートPCは、ゲームだけでなく動画編集などさまざまなニーズに対応できるため、販売台数が伸びている側面もあります。
SteamではゲーミングデスクトップPCを使用するユーザーが多い
Steamが公表している「Steamハードウェア&ソフトウェア 調査 2022 12月」によると、ゲーミングデスクトップPCを利用しているユーザーは約69%、ゲーミングノートPCを利用しているユーザーは31%でした。
2021年8月のデータでは、デスクトップユーザーが約77%、ノート型ユーザーが約23%なので、ノート型のシェアが着実に増えてきています。
この調査は、Steamのユーザーが対象となっていて、ゲーマーのみが回答しています。
動画編集などクリエイター用途のみでハイスペックノートPCを利用している方は対象外です。
そのため、この調査の割合は、実際にゲーマーが利用しているデスクトップ型とノート型の割合に近いと考えられます。
ゲーミングデスクトップPCとゲーミングノートPCの違い
ゲーミングデスクトップPCとゲーミングノートPCは、「CPU」と「GPU」に大きな違いがあります。
それぞれの特徴を把握したうえで、どちらを利用するか決めましょう。
CPUの違い
ノートPCのCPUは、同じ型式やシリーズでもデスクトップPCと比べて、性能が低く設定されています。
ノートPCは、持ち運びの利便性を向上させるために、CPUの消費電力やサイズ・重量などに、制限があります。
そのため、デスクトップPCのように性能面をメインにした開発ができず、性能が抑えられてしまいます。
また、デスクトップPCには大型の冷却装置が取り付けられて、高性能で熱を持ちやすいCPUが搭載されていても、効率的に冷やすことが可能です。
CPUがデスクトップPC用かノートPC用かを見分けるには、型式のシリーズ表記で分かります。
例えば、以下の型式のCPUであれば、Pがシリーズを表しています。
Core i7-1280P
世代によりシリーズは多少異なりますが、「H」「P」「U」「G」が付いているCPUはノートPC用です。
ゲーミングノートPCには、高性能なHシリーズが搭載されているケースが多く、重い処理をしても動きが遅くなりにくいです。
GPUの違い
GPUは、画像処理を担当するパーツです。
ゲームをプレイする際は、常に3Dグラフィックの演算処理が必要なため、ゲーミングPCの核ともいえる部品です。
一般的なノートPCにはGPUは搭載されておらず、CPUが画像処理も担当しています。しかし、CPUによる画像処理は性能が低いため、ゲーミングPCには必ず独立したGPUが付属しています。
ゲーミングノートPCのGPUは、ゲーミングデスクトップPCに搭載されているものと比べると性能は劣ります。
性能が劣る理由はCPUと同じく、消費電力やサイズなどに制限があるためです。
GPUも型番で、デスクトップ用かノート用かを見分けられます。
「RTX4090」という型番の場合、ノートPC用は「RTX 4090 Laptop」になります。
その他にも、型番の末尾に「M」が付くこともあります。
ゲームの公式サイトには推奨動作環境を「GTX 1060」などGPUの型番を記載していますが、これはデスクトップPC用GPUのことです。
同じ型番のノートPC用GPUだと性能が劣り、正常に動作しないケースもあるため注意が必要です。
ゲーミングデスクトップのメリット・デメリット
ゲーミングデスクトップPCには、メリットもデメリットもあり、それぞれを把握した上でゲーミングノートPCと比べることが大切です。
メリット
ゲーミングデスクトップPCは、選択肢が豊富でカスタマイズ性が優れているなどのメリットがあります。
選択肢が豊富
デスクトップ用のGPUは、ノート用と比べると種類が多く、プレイしたいゲームに合わせて選択可能です。
例えば、ApexLegendsやVALORANTなどのFPSゲームをプレイするのであれば、GPUの性能はそれほど高性能でなくても問題ありません。性能はそこそこで安価なGPUを選べば、資金的な負担が少なくなります。
ファイナルファンタジー15やCyberpunk2077のような、グラフィックの美しさが有名なゲームを高解像度でプレイするのであれば、高性能なGPUが必要です。
デスクトップ用GPUは種類が豊富なため、プレイするゲームの重さやグラフィックに合わせて選べます。
排熱に優れている
PCパーツは、基本的に高性能なほど発熱量も多くなります。
CPUなどの部品が熱を持ち過ぎると「熱暴走」の状態になり、動作が止まるだけでなく、回路が焼けて壊れてしまう可能性もあります。
デスクトップPCであればケースが大きいため、大型のファンを取り付けたり、ケース内で空気を循環させたりして、排熱性能を高めることが可能です。
ただし、排熱性に優れているデスクトップPCであっても、内部にホコリがたまっていたり、排熱口が塞がれていたりすると、内部に熱が溜まるので注意しましょう。
拡張性・カスタマイズ性が高い
ケースが大きいと排熱性だけでなく、拡張性やカスタマイズ性も高まります。
例えば、SSDやHDDなどストレージの追加・メモリ増設・より高性能なGPUへの交換など、さまざまなパーツをカスタマイズできます。
プレイしたいゲームに対して性能が不足してきた場合でも、特定のパーツだけ交換すれば推奨スペックを満たすことが可能です。
ノートPCはカスタマイズ性が低く、交換できないパーツが多くあります。性能が不足する場合は、ノートPCごとの交換が必要なケースもあり、余計な費用が発生してしまいます。
デスクトップPCはライトを使い、見た目のカスタマイズも可能です。
「ゲーミングPCは光っているからかっこいい!」と考える方も多く、ライトの増設はゲーミングPCの楽しみのひとつでもあります。
LEDで光るファンや音に合わせて色が変わるスピーカーなどがあり、SNS映えも抜群です。
ノートPCは見た目のカスタマイズはほとんどできないため、ライティングにこだわりたい方はデスクトップ型がおすすめです。
デメリット
デスクトップPCには、「設置場所」や「携帯性」にデメリットがあります。
広いスペースが必要
デスクトップPCは、本体とモニター・キーボードが別々なため、ノートPCと比べると広いスペースが必要です。
小さいデスクを使用していると、本体とモニターでスペースを使ってしまい、スピーカーや追加のモニターを設置できなくなる可能性もあります。
デスクトップPCを購入する前に、どこに設置するのか決めておきましょう。
持ち運びが難しい
デスクトップPCは、サイズが大きく重量もあり、基本的には持ち運ばずに固定して使用します。
デスクトップPCのケースには、コンパクトな「スリムタワー」、中型の「ミドルタワー」、大型の「フルタワー」があります。
搭載されるパーツにより異なりますが、コンパクトタワーでも重量は5kgを超えるため、持ち運びには適しません。
ゲーミングノートのメリット・デメリット
ゲーミングノートPCには、デスクトップ型と異なるメリット・デメリットがあります。
メリット
ゲーミングノートPCのメリットは、「携帯性」と「省スペース」です。
携帯性に優れている
ゲーミングノートPCは、重量が軽くコンパクトなので携帯性に優れています。
カバンなどに入れて持ち運べば、自宅以外でもゲームをしたり作業をしたりできます。
ただし、ゲーミングノートPCは高性能なパーツを搭載していて、液晶画面のサイズも大きく、重量は2kg前後あります。
一般的な用途の軽量ノートPCは1kgを切るものもあるため、あくまでゲーミング用途のPCとしては軽いと認識しておきましょう。
省スペースで楽しめる
デスクトップPCと違い、ノートPCは本体とモニター・キーボードが一体型で、設置に必要なスペースは少ないです。
一人暮らしなど、自宅のスペースに余裕がなくても設置できるでしょう。
ノートPCを使わない時はスタンドなどで立てて収納すれば、より省スペースになり、デスクを広々と使えます。
デメリット
ゲーミングノートPCは、「排熱性の低さ」や「カスタマイズ性の低さ」がデメリットです。
排熱性が低い
ゲーミングノートPCはケースが小さく、パーツ同士が接近していて、熱を持ちやすい構造です。
パーツが熱を持ち過ぎると自動でシャットダウンするなど、故障を防ぐ対策はされていますが、デスクトップPCと比べると部品の寿命が短くなってしまいます。
気温が上昇する夏場はノートPCの温度も上がりやすく、長時間の使用を控える・室温を下げるなどの対策が必要です。
カスタマイズ性が低い
ケースの小ささは排熱性だけでなく、カスタマイズ性も低くなります。
ストレージやメモリの交換はできても、増設やGPU・CPUの交換などはできない製品がほとんどです。
ゲーミングノートPCを購入した後で、高いスペックが要求されるゲームをプレイしたくなっても、スペックを高めることは難しいので注意しましょう。
ゲーミングデスクトップとゲーミングノートのどちらを選ぶべきか
ゲーミングデスクトップPCとゲーミングノートPCは、どのようにゲームを楽しむかにより決めるのがベストです。
自宅でじっくりゲームを楽しむならデスクトップがおすすめ
外ではゲームをプレイせず、自宅でゆっくりとゲームを楽しむならデスクトップがおすすめです。
ゲーミングデスクトップPCならではの高解像度・高画質で、大きなモニターを使いプレイすれば、ノート型では味わえない臨場感や没入感を味わえます。
また、FPSや格闘など対戦型のゲームでランキング上位を目指すのであれば、PCのスペックも必要なので、デスクトップ型がいいでしょう。
外でもゲームを楽しむならノートがおすすめ
帰省中の実家や友達の家・旅行中など、自宅以外でもゲームを楽しみたいならゲーミングノートPCがおすすめです。
ゲームだけでなく学校や図書館などで勉強したり、カフェで仕事のレポートなどを作成したい方にも向いています。
自宅だけでしかゲームをプレイしない方には、基本的にゲーミングノートPCはおすすめしません。
ただし、一人暮らしで自宅が狭いなど、省スペースでPCを設置したい方は、ノート型でも問題ありません。
まとめ
ゲーミングPCはデスクトップ型のシェアが高いですが、近年ノート型の性能が上がってきているため、シェアを伸ばしています。
デスクトップ型とノート型は、CPUとGPUに大きな違いがあり、設計に制限があるノート型の方が性能は抑えられています。
デスクトップ型は、選択肢が多く排熱性が高いですが、設置に広いスペースが必要で持ち運びが難しいデメリットがあります。
ノート型は、携帯性に優れて省スペースでも楽しめますが、排熱性とカスタマイズ性が低くなっています。
自宅でじっくりとゲームを楽しみたい場合はデスクトップ型、学校や友人の家など外に持ち運んでプレイしたい場合はノート型がおすすめです。
自分のプレイスタイルに合わせて、デスクトップ型かノート型かを決めてください。