TN / VA / IPSの特徴と違いは?液晶パネルについて解説

こんにちは、モニ研(@medifav)です。PC用モニターを選ぶ際は、液晶パネルの方式にも目を向ける必要があります。

というのも、それぞれの方式には長所と短所があり、使用目的に応じて適性が分かれるからです。

そこで今回の記事では、液晶パネルの3方式(TN・VA・IPS)を取り上げ、具体的な特徴を解説していきます。

  • コスト
  • 視野角
  • 応答速度

など、3方式の特徴や違いについてさまざまな観点から比較しているので、これを読めばモニター選びに悩むこともありません。

なお、液晶パネルの方式はカタログに記載されていない場合があります。

記事中では見分け方も解説しているので、店頭やオンラインストアなどでPCモニターを選ぶ際の参考にしてください。

モニ研

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モニターの専門家が詳しく解説します!

そもそも液晶パネルとは?

2000年頃までPCには箱型のブラウン管モニターが使われていました。そこに取って代わったのが液晶パネルであり、現在ではPCモニターの主流として市場流通のほとんどを占めています。

液晶パネルには、2枚のガラス板に挟まれるようにして小さな液晶分子が封入されています

この液晶分子は電圧をかけると向きを変える性質があり、透過する光の量を調節することができます。

この仕組みを用いて、パネル背面にある光源(バックライト)を機械的に制御し、画面を映し出すことができるのです。

つまり「液晶」っていう物質がパネルの中に入ってるってこと?

液晶は「固体、液体、気体」のように『状態』を指す言葉なんだよ。液体のように柔らかいんだけど、電圧によってモニターの中で構造が変わるものをまとめて「液晶」と呼ぶんだ。

モニ研

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液晶モニターはこの液晶分子の配置と動作の違いによって、

  1. TN方式
  2. VA方式
  3. IPS方式

の3種類の駆動方式に分けることができます。

各方式について、次の項目で見ていきましょう。

液晶パネルの3つの種類(TN・VA・IPS)

ここではTN・VA・IPS方式の違いを解説します。

液晶パネル内部の仕組みを解説しているので、結論を急ぎたい方は飛ばしてもらっても構いません。

TN(Twisted Nematic)方式

まずは最も歴史の長い「TN方式」について説明します。

TN方式では、電圧OFF時の液晶分子は光を透過する状態にあります。一方、電圧をONにすると液晶分子が90°垂直に動き、光が遮られて「黒色」の表示になります。

現在の主力は以下のVA・IPS方式に移りつつありますが、TN方式には消費電力や製造コストが低いなど、依然としてメリットが存在します。

何より、TN方式の最大の長所は応答速度の速さです。

この特性を活かし、現在でもゲーミングモニターの多くでTN方式が採用されています。

TN方式のメリット・製造コストが低い
・応答速度が速い
×TN方式のデメリット・視野角が狭い
・色再現性が高い

応答速度についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

VA(Vertical Alignment)方式

続いて、TN方式の欠点を補う「VA方式」について説明します。

VA方式の場合、先ほどと反対に電圧OFFの状態で光を遮断します。一方、電圧をONにすると液晶分子が垂直に動き、光を透過して「白色」が表示されるようになります。

電圧OFFの状態でほぼ完全に光を遮断するため、「黒色」が引き締まって表示されます。

このコントラスト比(最も明るい部分と暗い部分の輝度の比率)の高さが、VA方式のメリットといえるでしょう。

参考として、VA方式は鮮やかに映像が表示されることから、液晶テレビの分野で高い採用率を誇ります。

VA方式のメリット・コントラスト比が高い
・黒色がはっきりと表示される
×VA方式のデメリット・応答速度が遅い
・視野角が狭い

IPS(In Plane Switching)方式について

3つの方式のうち、最も新しい「IPS方式」について説明します。

IPS方式の場合、VA方式と同様に電圧OFFの状態で光を遮断し、電圧ONの状態で光を透過します。ただし、他の2方式とは異なり液晶分子は垂直ではなく水平方向に回転します。

TN方式やVA方式では、液晶分子が垂直方向に傾くため、見る角度によって輝度や色が変わる傾向にあります。

言い換えれば、モニターの視野角が狭くなります。

その点、IPS方式は見る角度によって輝度や色が変わることが少なく、広視野角が達成できます。

こうした特性から、IPS方式は現在のPCモニターで最も多く使われている方式です。

製造コストの高さがネックでしたが、現在は求めやすい価格のモデルが多数販売されています。

IPS方式のメリット・視野角が広い
・色再現度が高い
×IPS方式のデメリット・製造コストが高い
・応答速度が遅い

液晶パネルの3方式を表にまとめるとこのようになります。

新旧電圧OFF電圧ON液晶分子の回転方向
TN方式古い光を透過光を遮断垂直に動く
VA方式中間光を遮断光を透過垂直に動く
IPS方式新しい光を遮断光を透過水平に動く

参考:その他の駆動方式

3種類のパネルを紹介しました。IPS方式の派生として、以下の駆動方式が存在します。

AH-IPS(Advanced High Performance IPS)方式

IPS方式の派生として、「AH-IPS方式」と呼ばれるものもあります。

これは韓国のLGエレクトロニクスが開発した駆動方式で、通常の液晶パネルよりも高解像度・高発色性が実現されています

また、IPS方式の欠点であった電力消費量を改善し、低電力で駆動できるというメリットもあります。

AHVA(Advanced Hyper-Viewing Angle)方式

同じくIPS方式の派生として、「AHVA方式」というものがあります。

紛らわしいですが、Advanced Hyper-Viewing Angleの略称で、VA方式とは無関係です。

台湾のAU Optronicsが開発方式であり、応答速度が速いことから一部のゲーミングモニターに採用されています。

ADS(Advanced super Dimension Switch)方式

ADS方式とは中国のBOEテクノロジーが開発した駆動方式ですが、仕組みとしてはIPS方式と何ら変わりません。

もともと、IPS方式は日立が製品化に成功した技術でした。日立の子会社だったジャパンディスプレイが商標を取得して現在へと至っています

すでに広く普及したIPS方式ですが、BOEテクノロジーはより低コスト化を実現した技術として、新たにADSの名称を与えました。

実際にIO-DATAなどによってADS方式が採用されたモニターがリーズナブルな価格で販売されています。

OLED(Organic Light Emitting Diode)=有機EL

液晶パネルではありませんが、それに代わる新技術として注目されているのが「有機EL」です。

有機ELとは電気により発光する有機物のことで、この物質を活用したのが有機ELディスプレイです。

有機ELが液晶と大きく異なる点は、バックライトが不要であることです。

有機ELは素材自体が発光するため、背後に光源を置く必要がありません。したがって、液晶では実現できないほどモニターを薄型化することができます。

有機ELと聞くと、スマートフォンやテレビのイメージが強いかもしれませんが、現在はノートPCやモニターにも採用され始めています。

本体が小型になるだけでなく、液晶よりも鮮明に黒が表示される有機EL。まだまだ高級品の域を出ませんが、興味がある方は検討してみましょう。

パネル方式による特性(応答速度・視野角など)

ここまで、各パネル方式の仕組みとメリットとデメリットを解説してきました。

ここからは細かいスペックごとに、それぞれの特性を見ていきます。

  • リフレッシュレート
  • 応答速度
  • 視野角
  • コントラスト比

これらは、いずれもモニターのスペック表などに必ず記載されている項目です。

それぞれの項目とパネル方式との関連性も掘り下げていきましょう。

リフレッシュレート

特にゲーミングモニターを選ぶ場合は、リフレッシュレートが重要視されます。

「リフレッシュレート」とは、モニターが1秒間に映像を更新できる回数のことです。

たとえば、リフレッシュレートが60Hzのモニターであれば、1秒間に60回映像を更新することができます。

この数字が高ければ高いほど、映像が滑らかになります。

リフレッシュレートが高いのはTN方式で「240Hz」まで実現できます。この特性を活かして、ゲーミングモニターの多くでTN方式が採用されています。

一般的には、リフレッシュレートが高い順に、TN>IPS>VAとされています。

モニ研

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リフレッシュレートが高いと映像が滑らか!

応答速度

応答速度とは、異なる色(黒→白など)に表示を切り替えるまでに要する時間のことです。

たとえば、応答速度が6msのモニターは0.006秒で色が切り替わります。

この応答速度もパネル方式によって傾向があり、一般的にTN・VA方式が速いとされています。一方、IPS方式の応答速度は遅めです。

たとえばFPSゲームなど動気の多いゲームをプレイする場合は素早い反応が求められるため、リフレッシュレートや応答速度が高いTN方式が求められます

その一方で、シュミレーションゲームやMMORPGの場合、TN方式を選択するメリットは小さくなります。むしろ、発色性に優れたIPS方式を検討する余地もあるでしょう。

一般的には、応答速度が速い順に、TN=VA>IPSとされています。

モニ研

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応答速度が高いと「色の切り替わり」が速くなります!

視野角

視野角とは、モニターに対してどの角度の範囲であれば正常に見えるかを示す値です。

液晶パネルはその性質上、視野角が狭くなる傾向にあり、斜めからのぞくと暗く見えることが少なくありません。

IPS方式では液晶分子が水平方向に動くため、この視野角を広くすることが可能です。現行では視野角178°のモデルもあり、ほぼ真横からのぞき込んでも画面が見えます。

モニターがキレイに見える範囲

また、VA方式も液晶分子の配列を工夫することで、視野角が大幅に改善されています。

一般的には、視野角が広い順にIPS>VA>TNとされています。

モニ研

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視野角が広いと、斜めから画面を見てもキレイに写ります!

視野角についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

コントラスト比

コントラスト比は、画面に表示される白と黒の輝度差を比率であらわしたものです。(※輝度は明るさを表す単位)

たとえば、コントラスト比が500:1の場合、黒に対して白が500倍の輝度を持っていることを意味します。

コントラスト比の高い方が、くっきり鮮やかな画質になります。

特に明るい場所においては、ある程度の輝度がなければ画面を視認することができません。屋外でノートPCを使う際は、コントラスト比が重要になってきます。

一般的には、コントラストが高い順にVA>TN>IPSとされています。

モニ研

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コントラスト比率が高いと、画面が鮮やかに見えます!

パネル方式による特性まとめ

リフレッシュレート応答速度視野角コントラスト比率
TN方式
VA方式
IPS方式

目的別:液晶パネルの選び方

IPS・TN・VA方式の特性が分かったところで、使用目的に応じたモニターの選び方をまとめましょう。

TN方式:ゲーミング

TN方式はリフレッシュレートの高さ、応答速度の速さが売りです。

したがって、FPSなど素早い反応を求められるゲーミングモニターに向いています。

VA方式:映画鑑賞

VA方式は、コントラスト比の高さを特徴としています。

黒色が際立って表示されるため、映画鑑賞などに向いているでしょう。

IPS方式:クリエイティブ作業

IPS方式は視野角が広く、どの位置からでも同じ発色・輝度で視認できます。

したがって、イラストや写真編集などクリエイティブ作業に向いています。

ただし、上記はひとつの目安に過ぎません。たとえば、IPS方式はメーカーの企業努力により応答速度の速いモデルも生まれています。

現在はIPS方式の高画質ゲーミングモニターも販売されており、TN方式との差は縮まりつつあるといえるでしょう。

パネル方式を判別する方法

最後に、TN・VA・IPS方式の判別方法を解説します。

主流であるIPS方式のモニターに関しては、ほとんどの場合カタログにその旨が記載されています。

その一方で、TN方式はカタログに記載がなく、一見しただけではパネル方式が判別できない場合があります。また、店頭で中古品を購入する際も、詳細スペックを確認できないことがあるかもしれません。

TN方式は視野角が狭いため、比較的容易に見分けることができます。

斜めからのぞき込んだ際に画面が極端に暗くなれば、TN方式のモニターである可能性が高いでしょう。

特に水平と垂直方向で視野角が異なる場合(カタログには上下160°/左右170°と記載されています)、ほぼTN方式であると考えられます。

また、表示色数にも注目してみましょう。IPS方式の多くは「1677万色」(フルカラー)ですが、TN方式の多くとVA方式の一部は「1670万色」(疑似フルカラー)です。

ただし、TN方式でもフルカラーのモニターが存在するため。あくまで目安として考えてください。

まとめ

今回は液晶パネルの区分である、TN・VA・IPS方式の違いを解説しました。

現在の主流はIPS方式です。価格も以前と比べて手頃になり発色性能も優れていることから、今後もPCモニターの中心勢力となるでしょう。

とはいえ、TN方式やVA方式のモニターも健在であり、それぞれの特性を活かす形で製品が販売されています。

それぞれの違いを理解した上で、最適なモニターを選ぶようにしましょう。また、実際の画質はカタログスペックから判断することができません。可能であれば、実物を見てから購入することをオススメします。

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